誰もが失敗したくないと思っています。会社で失敗したら修復に時間がかかる、怒られる、プライドが傷つくなどの理由からです。このページでは、失敗をなるべく防ぐ方法を紹介したいと思います。
1.準備を確実にする
失敗原因の多くは準備不足にあります。
まず、仕事を始める前に、確認しておくべきことがあります。
- この仕事の目的はなにか
- いつまでに終わらせるのか
- インプット/材料表
- アウトプット/出来上がりのイメージ
- プロセス/手順(インプットをどう加工してアウトプットにするか)
- 検査/アウトプットの合格条件
これらの情報は、仕事を頼まれた時に、確認しておくべき項目です。仕事を頼んできた人に確認しておき、確実に実行したら、たとえ結果が失敗に終わったとしても、ある程度許してもらえると思います。まずは情報を確認しておき、その情報に基づいて実行してください。
6項目のうち、5番目はプロセス(どう加工するか)で、実作業となります。実作業の手順をよく考えて、チェックリストなどを作成しておくと良いです。インプット、アウトプット、合格条件は具体的にどのような事柄なのかは、事例をご参照ください。
2.間違いやすいことを見つけて注意喚起する
いろいろな作業を実施する時、間違いやすいことがあります。
バナナケーキ作りの事例でいえば、間違いやすいこと(過去に間違ったことのあること)は、下記の通りです。
- バターと卵を混ぜる時、卵を3回に分けて入れる。
- 卵を一気に入れてしまうと、バターと卵が混ざらなくなる。
- ベーキングパウダーを入れ忘れて膨らまない
- ベーキングパウダーは少量なので忘れがち。
- 砂糖と塩を入れ間違える
- どちらも白い粉状なので見た目では区別つきにくい。味見するか黒糖を使う
チェックリストには、そのことを明記しておき、間違わないように(同じ過ちを繰り返さないように)注意喚起します。
間違いやすい項目を注意喚起するのは、ヒヤリハットの項目をご参照ください。
3.背後要因(作業者の体調不良、時間不足)をなくす
作業する人の体調不良だった場合は、インプットの一部を間違えたり、注意喚起する項目を見逃したりしやすくなります。作業者の体調管理は普段から十分に注意しましょう。
やむを得ず体調不良の人が作業せざるを得ない場合には、十分に気を配って監視すると良いです。
また、作業時間が十分でなければ、時間がかかる作業の一部を省略してしまうかもしれません。例えば3回に分けて少しづつ作業する項目を、一気に混ぜて時間稼ぎをしたくなったり。パウンド台にセットするクッキングペーパの折り方が雑になったりすることがあるかもしれません。作業者のスキル(手際の良さ)に応じて、適切な時間を設定する必要があります。もし納期に間に合わないことがわかったら、早めに、少し遅れそうなことを関係者に連絡すると良いです。
4.PDCA(計画し、実行し、出来栄え確認、修正)
計画(Plan):何をインプット(材料)とするか、どのような手順でアウトプットするか計画
実行(Do):計画で決めた手順通りに実行
出来栄え確認(Check):アウトプットの特性を測定(料理なら味見して)
修正(Act):失敗したり、失敗しそうになったり、出来栄えが良くなかったら、その原因を突き止めて手順やインプットを修正します。
このPDCAがうまく回っていれば、継続して失敗をすることはないでしょう。
計画が十分でなかったり、手順通りの作業をしなかったり、出来栄えの確認をしなかったり、出来栄えが良くなかったりしたとき、再発防止策の多くは、計画(インプット、アウトプット、プロセス、検査の方法)を修正することになります。
失敗しても再発防止の検討をしなければ、いずれ失敗を繰り返すことになります。
(注)PDCAのPlanについては、失敗防止のためにしておくこと「1.準備を確実にする」で詳しく解説しています。
5.コミュニケーションを重視する
仕事は一人でするものではありません。バナナケーキ一つとっても、インプットの材料を作り人(サプライヤー、材料メーカ)、材料を調達(購買)する人、材料を測る人、加工(調理)する人、提供する人、食べる人(お客様)がいて、一人で作業を完結できることは滅多にありません。
その人たちとの人間関係を良好に保ち、適切なコミュニケーションをとることによって、失敗は減ってきます。
リンク:人間関係を良好に保つ
6.危険予知
作業する前に、オーブンで火傷をしないように、ブレンダーなど刃物で手を切らないように、など、怪我をしそうなことを見つけて、注意することも必要です。企業では危険予知ミーティング(KYM)を行って、怪我など災害を防止します。
7.整理、整頓、清掃、清潔、躾(5S)
作業現場の整理整頓が重視されており、製造業では5S活動などと言います。5Sについて少しだけ解説します。
整理:不要なものを捨てることです。いらないものを取っておくのは保管場所の無駄です。
整頓:必要なものがどこにあるのかを決めて、探す手間をなくします。
清掃:機械の油漏れなど、日頃からよく清掃して綺麗にしておけば、油漏れしたらすぐにわかります。
清潔:汚いものは触れたくありません。触れる機会があるものは綺麗にしておきましょう。
特に新型コロナ感染症の流行以来、清潔さは重視されています。感染症にも十分注意しましょう。
以上4つのSは作業環境の状況を使いやすく維持しようとするものです。
5つ目の躾は、一般には、子供に善悪やルールを教えたり、約束を守ったり、遅刻をしないようにしたり、周囲の人への思いやりを持った行動や根気を重視するような子供への指導だと思います。なぜ製造業などの5Sで躾が重視されるのでしょうか?
7.1.自然にできるようになる(躾)
当然、子供の頃に親に躾を教わったように、約束したことは守る、時間は守る、我慢するときは我慢する、挨拶はきちんとする、など、できて当たり前のことは、社会人として当然実施できなければなりません。
その躾が整理・整頓・清掃・清潔の4Sの後に来るのは、子供の頃の躾と同様、特に意識しなくても自然にできるようになることを意味していると考えています。
そう考えると、躾ができていることが、失敗防止のための基本的な考え方かもしれません。
失敗を防ぐためにしておくべきこと、まとめ
失敗を防ぐためには、準備を確実に実施し、間違いやすいことがあれば注意喚起し、体調を整え、必要な時間を確保していくことが必要です。
当然、計画した通りに実行し、出来栄えを確認し、問題があれば修正する姿勢も重要です。
関係者と良好な人間関係を保ち、必要なコミュニケーション(情報のやり取り)をして、作業する前に危ないことはないかを確認することも必要です。
作業環境を整理整頓し、清掃して綺麗に保ち、人が触れるところは感染症などないように清潔に保つことも必要です。
そして、それらのことが言われなくても自然にできるようにしておくことが、失敗防止には有効です。逆に、準備が十分でない場合は、失敗の確率も上がっていくので、注意が必要です。
失敗しないためのチェックシート
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