文書のパターンを把握して効率よく作成する

文書作成は、社会人としての重要なスキルです。しかし、苦手意識を持っている人も多いようです。会社での文書は、文書のパターンを知っていれば効率よく作成することができます。
また、口頭でのコミュニケーションと比較すると、情報のやり取りが行われた証拠が残り、より確実な情報伝達が可能となります。それだけに、ミスの少ない文書が求められます。

ビジネス文書の基本

まず、文書を書き始める前に、文書の目的を意識し、目的を達成できる文章を書くようにしましょう。文書の種類によって、文書の型が変わるので注意しましょう。
次に、基本となる文書の型を把握しておき、その上で文書の型に沿って記載しましょう。

文書は、冒頭の前付、本文、付記の3つのパートで作成します。

前付には文書番号、発信年月日、受信者名(会社名、役職、所属、氏名)、発信者名で構成されます。

本文は、表題、前文、主文、末文で構成されます。主文では、「下記の通り、」と記載し、「記」の下に要件を箇条書きで記載します。「記」と記載した場合は、最後に「以上」と記載するのがルールです。主文では、「記」から「以上」に書かれていることをどうしてほしいのかを伝えます。

付記では、強調したい事柄を「なお、」以下に記載し、最後に、添付資料について記載します。

ビジネス文書の基本形

(注1)社外文書の場合、敬語に注意して書きます。社内文書は敬語を使う必要はありません。
(注2)印刷して郵送する場合は、後から誤りに気がついても、誤った情報が記載されている紙を回収して改版することはできません。誤りがないよう、十分にチェックしてから送ります。
(注3)パソコンのワープロソフトで記載するので、書き直しすることは可能です。追伸はせず、追伸の部分は最初から本文に記載しましょう。
(注4)添付資料を除いた基本文書は、できるだけA4一枚に収まるようにすると、読み手の負担を減らして、確実に情報を伝達することができます。
(注5)使い回しをする場合、次回修正しなければならない部分を赤字にしておき、赤字が残らないようにしましょう。

ビジネス文書の種類

ビジネス文書は大きく分けると、社外文書と社内文書に分けられます。

1.社外文書

社外文書は取引先やお客様などとやり取りをする文書で、取引文書と社交文書に分けられます。

1.1.取引文書

取引文書は、実務や取引の内容を記録や証拠を残す重要な目的があります。定型業務としてパターン化した文書(依頼状、案内状、送付状など)と、突発的に発生する文書(詫び状、断り状、督促状、講義状など)があります。

本ブログは品質管理の仕事をしている人を対象に記載しています。品質管理係の人が作成する最も重要な社外文書は、製品やサービスの不具合が発生した時の見解書となります。品質サービスの見解書については、こちらをご覧ください。

1.2.社交文書

社交文書は、社外との関係を維持・発展させることが目的です。祝い状、お礼状、挨拶状などの種類があります。

2.社内文書

社内文書は社内の情報伝達で使われる文書で、社外文書と比べて、わかりやすく簡潔に記述することが求められます。ほとんどの場合は印刷して紙を配布することはなく、メールに直接用件を記載するか、添付ファイル送付になります。連絡書、報告書のほか、提案文書、届出書に分けることができます。
社内文書は、前置きや挨拶文は不要です。敬語を使う必要もありません。文章はなるべく短くして、可能であれば図表を使って読み手がすぐに理解できるように作成します。

2.1.連絡書

連絡書は、上位者から担当者へ書く文書で、指示や命令、情報伝達が目的です。
簡単な連絡文書の例としては、避難訓練の日時を全員に伝える文書があります。全員が避難訓練に関する必要な情報を把握できれば、その文書は目的を達成したと言えるでしょう。
連絡書としてのメール文章の例は以下のとおりです。

件名:避難訓練のお知らせ
内容:
社員各位

下記の通り、避難訓練を行います。避難訓練時に社内にいる方は、原則全員参加してください。
【火災避難訓練開始日時】x月y日z時00分
【発火点】2階給湯室
【避難場所】1階玄関前広場
【経路】(フロアマップ上の避難経路と集合場所の地図を示す)
【注意事項】
・エレベータ使用禁止
・車椅子障がい者の避難方法:4人で下ろす。車椅子を後ろ向きにして、背中側を2名、足側を2名
              (必要に応じて、事前に確認しておいてください)
・集合場所での点呼をします。所属長は点呼して全員が避難したことを確認してください。
・お客様・取引先との打ち合わせ予定で避難訓練に参加できない方は、事前に所属長に連絡してください。
・避難完了連絡方法:所属長は全員が避難したことを確認したら、事務局まで連絡してください。
・各係の役割を事前に確認してください。
   対象:避難誘導係、重要書類・備品等持ち出し係、初期消火係、救護係など
以上

2.2.報告書

報告書は活動した内容を上司や関係者に報告するための文書です。参加者、報告書の作成者、日時、場所、活動の目的、内容、結論などを記載します。原則として事実を記録しますが、所感(意見)を記載する場合もあります。下記の通り、さまざまな種類があります。

2.2.1.議事録

会議に参加した報告書。議事録作成者の意見は含みません。正式な議事録は会議に対して一つだけです。読み手は会議参加者、会議体の利害関係者です。主な記載内容は以下のとおりです。決定事項を明確に記載しましょう。

  • 基本情報:会議名称、会議主催者、参加者(参加予定者のうち欠席者)、日時、場所
  • 本文:会議目的、議題と会議決定事項
  • 詳細:議論した内容(発言者と発言内容)
2.2.2.研修受講報告書

研修を受講した報告書。
報告書の読み手:主に上司です。
報告書の目的:今後、研修で学んだ内容をどう活かしたいか。この研修は役に立ったかを明確にする。
 会社の費用を使って学ばせてもらったのですから、できる限りその費用を無駄にしないよう、研修を受講して学んだことを、今後の業務でどう活かしたいかを記載しましょう。

主な記載内容

・基本情報:研修名称、講師、日時、場所
・本文:研修受講目的、研修カリキュラム、研修内容、テキスト名
・所感:講義の難易度、わかりやすさ、あなたの理解度、組織にとっての有用度、研修目的の達成度、この研修で得られた知識を業務にどのように活かすか
2.2.3.研究報告書、調査報告書

研究や調査の結果を報告する。読み手は上司とチームメンバー、研究成果の利用者です。主な記載項目は以下のとおりです。考察以外は事実データである必要があります。研究成果を業務で利用するため、再現性(同じ方法で研究・試験すると、同じ結果が出る)がある必要があります。

  • 研究・調査名称
  • 目的
  • 概要
  • 詳細(研究・試験方法、結果、考察)
  • 参考文献、付録
2.2.4.出張報告書

出張内容を報告します。結論だけでなく、所感が重視される場合もあります。

  • 訪問先
  • 訪問日時
  • 訪問相手
  • 同行者
  • 出張目的
  • 結論(決定事項)
  • 詳細
  • 所感(契約が成立しそうか、相手は好意的な姿勢だったか、訪問時の注意点など)

2.2.5.その他

提案書、届出書などがありますが、各社様式がありますので、正しい様式を探して利用してください。

参考

本記事は、鈴木真理子著「ビジネス文書&メールの基本」をコンパクトに要約したものです。
この記事の目的は、ビジネス文書のパターンの概略を把握することです。
会社内に文書様式がある場合はそちらを優先してください。

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